家には私たちだけでシーンとしていた。

私はその話しというのが、今朝ロッカーの前で見られた事だと、すぐに思った。


なので、追求されたくないと思い、

もう、なんなん。
真剣な顔してー。

と、ふざけながら言い、マットレスだけのベッドに座っている大和の奥に、壁にもたれかかるようにして座った。



大和が私の方へ向き直る。

俺が何聞きこうとしてんのか分かる?



その言葉に返事ができない。

私が黙っていると、

泣かしたんはシンイチか?

と言う。






え?

私は少しパニックになった。


大和は私がシンイチに泣かされていたと勘違いしていたようだった。






ちがうちがう!

やったら誰?

…。




これ以上隠せないなと思った。







…好きな子が出来てん。
シンイチの友達。。。
…けどその子に好きな子がいてるって分かったから…





シーーーーンと静まりかえる。








そいつ。

え?

そいつ誰?。お前の好きなやつ。




私は正直に9組の近藤君と答えた。

大和は近藤君とそれほど仲良くはなかったが、友達ではあった。
大和もバスケがうまかったので、昼休みとかに、ハーフコートで3on3をしているのを見た事もあった。









…ハルキか。

大和はそういうと、黙りこくった。




気まずい空気が流れる。










どれぐらいその時間が経過しただろう。

私にはすごくすごく長い時間に感じた。




リオ…

大和にそう名前を呼ばれた瞬間だった。



ただいまー!!

と勢い良く玄関のドアが開き、みんなが戻ってきた。



私が大和に

…何?

と聞くと、大和は一瞬ふっと笑って、

何でもない。

首を振ってそう呟いた。